「抜け毛が止まらない!」
そんなときはもしかして、何らかの脱毛症かもしれません。
一口に脱毛症と言っても、男性・女性それぞれ特有の脱毛症から、皮膚疾患による脱毛症などさまざまなタイプの脱毛症があります。
脱毛症の可能性がある場合は、早めの対策やケアによって、それ以上進行しないように食い止めることが重要です。
ここでは、抜け毛が止まらない5つの脱毛症について詳しく解説いたします。
抜け毛が止まらないのには何らかの原因がある?
健康な人の1日の抜け毛の量は、約50~100本程度と言われています。
抜け毛がこれ以上増えて止まらない場合は、何らかの原因があると思って間違いありません。
抜け毛が止まらない理由として、次のような原因が考えられます。
●ヘアサイクルの乱れ
●ホルモンバランスの乱れ
●栄養不足
●頭皮の血行不良
●皮膚疾患
●男性ホルモン(DHT)
●自己免疫疾患
抜け毛が増えたら、何が原因になっているのかを突き止め、解消する必要があります。
まずは、抜け毛を観察してみましょう。
正常な抜け毛は全体的に太くしっかりしており、毛根がふっくら丸みを帯びて白っぽくなっています。
髪が細い、毛根が細い、毛根がない、毛根が黒いなどの症状が見られる場合は異常で、ヘアサイクルの乱れや栄養不足、血行不良などの可能性があります。
また、頭皮の状態にも注意を払いましょう。
フケが多い、かゆみがある、赤くなっている、ベタつくなどの症状が現れているときは、頭皮環境の悪化や皮膚疾患が考えられます。
自分で原因がわからない場合は、専門家に相談するのもひとつの手。
抜け毛が止まらないまま放置していると、薄毛のリスクが高くなってしまうので注意してくださいね。
男性型脱毛症(AGA)で抜け毛が止まらない?
AGA(エージーエー)とは、男性薄毛の9割を占める男性型脱毛症のこと。
早い人では20代から発症し、年齢が高くなるにつれて発症率も上がります。
AGAには遺伝も関係しており、母方の祖父が薄毛の場合、AGAになりやすい体質を受け継ぐと考えられます。
男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼと結びつくと、DHTという強力な男性ホルモンに変わります。
DHTがアンドロゲンレセプターと結合すると脱毛指令が出され、ヘアサイクルの成長期が短縮するため、十分に成長する前に髪が抜け落ちてしまうというのが、AGAのメカニズムです。
AGAの特徴は、脱毛が前頭部か頭頂部、もしくは両方にあらわれること。
額の生え際が後退していく、剃り込みが入ったようにM字型に脱毛する、頭頂部が薄くなっていくなどの症状が見られます。
脱毛が進行していくと、最終的には額から頭頂部にかけての髪がすべて抜け落ちてしまいます。
細い髪が増え、前頭部や頭頂部の抜け毛が目立つときは、AGAを疑ってみた方がよいでしょう。
AGAは進行性の脱毛症なので、何もせずに放置するのは厳禁です。
生活習慣の改善やストレス解消を心がけ、早めに専門家に相談し、適切な対策をとるようにしましょう。
円形脱毛症が原因で脱毛が止まらない?
円形脱毛症とは、頭皮の一部が硬貨のように丸もしくは楕円型に脱毛する疾患です。
明確な原因はまだ明らかになっていませんが、免疫系が誤って正常な毛根を攻撃し破壊してしまう「自己免疫疾患」のひとつと考えられています。
アトピー性皮膚炎や気管支炎・アレルギー性鼻炎のある人や、家族に円形脱毛症の発症者がいる人は、円形脱毛症を発症しやすいので注意が必要です。
円形脱毛症は、脱毛斑が1つの「単発型」、複数の「多発型」、頭全体が脱毛する「全頭型」、頭だけでなく体毛まで脱毛する「汎発型」、帯状に脱毛する「蛇行型」の5種類があります。
このうち、脱毛斑が1~2個程度の軽度の円形脱毛症であれば、放っておいても自然治癒する可能性があります。
しかし、脱毛斑の数が多く、面積が広くなるほど重症化し、治療も難しくなり長期にわたります。
次のような特徴が見られるときは、円形脱毛症の可能性があります。
●急激に抜け毛が増えて止まらない
●境目のはっきりした脱毛斑がある
●抜け毛の毛根が細くとがっている、もしくは毛根がない
円形脱毛症が疑われる場合は、早急に病院の皮膚科で診てもらうことをおすすめします。
進行するほど治療に時間がかかり、治りにくくなるので注意してくださいね。
脂漏性脱毛症が原因で抜け毛が止まらない?
脂漏性脱毛症とは、皮膚疾患による脱毛症です。
頭皮の皮脂分泌が過剰になることによってマラセチア菌が増殖し、頭皮の炎症やかゆみ、フケを生じ、それに伴って抜け毛が増えます。
脂漏性脱毛症になると、次のような症状が現れます。
●頭皮が脂っぽくべたつく
●フケが増える
●頭皮が赤く炎症を起こしている
●頭皮にかゆみや湿疹がある
●抜け毛が多くなる
脂漏性脱毛症は、皮膚科で治療する必要があります。
脂漏性皮膚炎が治れば抜け毛もおさまってくるので、酷くなる前に早めに病院へ行くようにしましょう。
分娩後脱毛症で抜け毛が止まらない?
分娩後脱毛症とは、出産後数ヶ月くらいの間に一気に抜け毛が増える脱毛症です。
女性ホルモンのエストロゲンには、ヘアサイクルの成長期を維持する働きがあり、妊娠中はエストロゲンの分泌量が増加するため、健やかな髪が保たれているのです。
ところが、出産後はエストロゲンの分泌量が減少して元に戻るため、髪は一気に退行期へと移行し、抜け毛が止まらない状態になってしまうのです。
そのため、一時的に髪が薄くなってしまうこともありますが、産後半年~1年ほどでヘアサイクルが正常に戻れば、抜け毛も自然におさまって薄毛も改善するので、とくに心配する必要はありません。
新しい髪が生えてくるように、栄養バランスに気をつけて食事をとる、睡眠不足にならないように眠れるときに寝て体を休めるようにするなど工夫しましょう。
また、アミノ酸シャンプーに変えたり、バスタイムに頭皮マッサージをしたりするのもおすすめです。
びまん性脱毛症で抜け毛が止まらない?
びまん性脱毛症とは、女性に多い薄毛の症状のことを言います。
男性のAGAのように前頭部や頭頂部など局所的に薄くなるのではなく、髪の毛が全体的に薄くなっていくのがびまん性脱毛症の特徴です。
びまん性脱毛症の原因は、加齢やホルモンバランスの乱れ、ストレス、無理なダイエット、生活習慣の乱れ、誤ったヘアケアなど。
「髪の曲がり角」と言われる30代後半くらいから増え始め、40~50代でさらに多くなります。
しかし、無理なダイエットや栄養不足などの原因があれば、20代でもびまん性脱毛症になる可能性があるので注意しましょう。
びまん性脱毛症は急激に抜け毛が増えるわけではなく、徐々に薄くなっていく傾向があります。
抜け毛が増えて止まらないと感じたときは、食生活やストレス、生活習慣を見直し改善していきましょう。
また、抜け毛のが増えた初期の段階であれば、育毛剤を取り入れるのも効果的です。
何が原因なのか見当がつかないときは、早めに専門家に相談することをおすすめします。
抜け毛が止まらないときは薄毛専門のクリニックに相談しよう
抜け毛が止まらないときにとるべき対処法は、2つあります。
1つ目は、食生活や生活習慣の改善、シャンプーの見直し、頭皮マッサージの習慣化、育毛剤の使用など、自分でできる対策をすること。
2つ目は、専門家に相談すること。
なぜ抜け毛が止まらないのか、自分ではわからないことも多いでしょうし、専門家にしっかり見てもらうことで抜け毛の原因を知り、適切な対策を行うことができるようになります。
抜け毛が止まらないときは、病院の皮膚科や薄毛専門のクリニック、薄毛専門院などで相談できます。
早めの対応が抜け毛改善のカギとなるので、抜け毛に悩んだときは迷わず専門家に相談しましょう。
まとめ
抜け毛が止まらないときは、何らかの原因があると考えられます。
AGAや円形脱毛症、脂漏性脱毛症、分娩後脱毛症、びまん性脱毛症などの可能性もあるので、抜け毛や頭皮の状態をチェックしてみましょう。
脱毛症が疑われる場合は、生活習慣の改善やヘアケアなどの対策を行い、早めに専門家に相談することが大切です。
抜け毛を放置すると、薄毛になるリスクが高くなるので、早めの対応を心がけるようにしてくださいね。