男性に多く見られるAGA(男性型脱毛症)は、AGA治療薬を使って改善できる可能性があります。
AGA治療薬は抜け毛の抑制や発毛などの効果が期待できるものの、その一方で副作用のリスクがあるのも事実。
「副作用が心配で治療に踏み切れない」という方も結構多いのでは?
今回はそんな方のために、AGA治療の副作用について徹底解説いたします。
どんな薬にも副作用は付き物
そもそも副作用とは何でしょうか?
薬には病気を治したり、患部の症状を軽くしたりする「主作用」というものがあります。
これは、「鼻水を止める」「腹痛を治す」といった、薬の本来の目的に沿った作用です。
これに対して、本来の目的以外の作用を「副作用」と言います。
たとえば、「風邪薬を飲んだら眠くなった」という場合の「眠気」が副作用にあたります。
全ての薬が、このような「主作用」と「副作用」の両方を併せ持っています。
薬が体内に入ると血液によって全身に運ばれるため、患部以外の部分にも影響を与えることがあります。
それが副作用となって現れるのです。
副作用は誰にでも起こるわけではなく、同じ薬を用いても副作用が起こりやすい人と起こりにくい人がいます。
アレルギー体質の人や高齢者、肝臓・腎臓に病気のある人は副作用のリスクも高いため、十分に注意しましょう。
AGA治療薬の副作用
AGA治療薬は大きく分けると、内服薬と外用薬があります。
それぞれどのような副作用があるのか、薬の種類別にご紹介します。
【内服薬】
■プロペシア(一般名はフィナステリド)
プロペシアは、「5αリダクターゼⅡ型」という酵素を阻害する薬です。
この作用により、AGAの元凶であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制し、ヘアサイクルを正常に戻します。
男性にのみ推奨されている薬で、女性は使用できません。
とくに、妊娠中の女性の場合、男児の外性器の発達を阻害する危険性があるため、手で触れないように注意する必要があります。
プロペシアの副作用は、臨床試験において4.0%発生しています。
男性機能にかかわる副作用は、性欲減退(1.1%)・勃起機能不全(0.7%)・射精障害(1%未満)・精液量減少(1%未満)・精液の質低下など。
また、ごくまれに肝機能障害(0.2%)が現れることがあり、その場合は食欲不振・全身倦怠感などの症状があらわれます。
その他に頻度は不明ですが、掻痒症・蕁麻疹・睾丸痛・乳房圧痛・乳房肥大・抑うつ症・めまいなどの副作用が生じることがあります。
参考:https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/medley-medicine/prescriptionpdf/170050_249900XF1021_2_09.pdf
■ザガーロ(一般名はデュタステリド)
ザガーロもプロペシアと同じように5αリダクターゼを阻害する薬ですが、ザガーロはⅠ型・Ⅱ型両方の5αリダクターゼに効くのが特徴です。
ザガーロを使用できるのは男性のみで、妊娠中の女性は手で触れるのも厳禁です。
ザガーロは、国際共同試験において17.1%の副作用が報告されています。
また、国内長期投与試験では11.7%の副作用が報告されており、主なものとしては勃起不全(10.8%)・性欲減退(8.3%)・射精障害(4.2%)があげられます。
重大な副作用として、肝機能障害が現れることがあり、食欲不振・全身倦怠感などの症状が出ます。
その他、1%未満の副作用として発疹・頭痛・乳房障害・腹部不快感、頻度不明の副作用がめまい・味覚異常・蕁麻疹・掻痒症・精巣痛・体毛脱落・多毛症・腹痛など。
参考:https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00065940.pdf
【外用薬】
■ミノキシジル
ミノキシジルは「発毛効果のある成分」として、厚生労働省に認められています。
ミノキシジルには血管拡張作用があり、血行を促進し、髪に必要な栄養や酸素を補給することで髪の生成・成長を促します。
また、IGF-1やVEGFなどの「発毛シグナル」の産生を促進し、毛母細胞が死滅するのを抑制する効果があります。
ミノキシジル配合の外用薬は第1類医薬品に分類され、日本では大正製薬の「リアップ」などがその代表です。
ミノキシジルの副作用には、掻痒・紅斑・落屑・毛包炎・接触皮膚炎などの皮膚症状の他、顔面の多毛などが報告されています。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症の診療ガイドライン2017年版」によれば、5%のミノキシジル液の皮膚症状の出現率は6%、2%のミノキシジル液では2%でした。
参考:https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
また、大正製薬のHPによると、リアップの皮膚症状以外の副作用として、頭痛・気が遠くなる・めまい・胸の痛み・心拍が早くなる・手足のむくみ・体重増加などがあげられています。
AGA治療で副作用があった場合どうすればいいの?
AGA治療薬は、副作用のリスクがあることを十分に理解した上で、用法や用量を守って使用することが大切です。
しかし、正しく使用しても副作用が出てしまった場合、どうすればよいのでしょうか?
頭皮や体に異変を感じたときは、すぐに医師か薬剤師に相談しましょう。
副作用がひどくなる前に対処することが重要です。
医師や薬剤師に相談するときは、薬の名前や使用した量、使用期間、どんな症状が出たのか説明できるようにメモしておくことをおすすめします。
医師は副作用の状態によって、「薬の量を減らす」、「ほかの薬に替える」、「薬の使用を中止する」などの対処法を決めます。
また、入院治療を必要とするほどの副作用が出た場合、もしくは障害・後遺症が残ったり、死亡した場合は、「医薬品副作用被害救済制度」を利用できる可能性があります。
これにより、自己負担金の全額や年金・見舞金などの公的支援が受けられます。
ただし、この制度は日本国内で医薬品医療機器等法を遵守して販売されている医薬品に限られ、個人輸入した医薬品による健康被害には適用されないので、注意が必要です。
病院で治療しながら整体に通うのもおすすめ
AGAには生活習慣や食生活の乱れ、ストレスなども大きく影響しています。
AGAを改善するためには、薬だけに頼るのではなく、これらの見直しや改善も必要不可欠です。
食生活や生活習慣は心がけ次第で改善することができますが、ストレスによる自律神経の乱れやそこからくる血行不良などのケアは、自分ではなかなかうまくできませんよね。
そこでおすすめしたいのが、整体。
身体の歪みやズレを矯正しバランスを整えることで、自律神経の乱れ、血行不良などの症状を改善していくのが整体の特徴です。
薄毛というと頭皮にばかり目が行きがちですが、体の他の部分に原因が潜んでいるケースも多いため、病院でのAGA治療と整体のダブルでアプローチしてみるのもいいかもしれませんね。
まとめ:AGA治療に副作用ってあるの?AGA治療の安全性について徹底解説
AGA治療を受ける際は、次の3点に注意しましょう。
- 薬の用法・用量を守り正しく使うこと
- どのような副作用があるのか知っておくこと
- 少しでも異常を感じたときは、早めに医師か薬剤師に相談すること
AGA治療には副作用のリスクがあるものの、あらかじめ副作用について理解しておくことで、少しは不安も軽減できるのではないかと思います。
AGA治療と並行して生活習慣の改善や整体なども取り入れ、薄毛になりにくい体質作りを心がけてくださいね。